小説の書き方まとめ:参考書籍

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小説の書き方まとめ:参考書籍

小説を書くための参考書籍をまとめてみました。(特に二次創作には特化してません)

それぞれの本で「小説の出だしから、ラスト(結末)までどうやって書けばいいのか」参考になりそうなところ紹介します。

内容以外の形式的なことやデータの作り方は他の記事にまとめています。

「書くことが思い浮かばない」

「「思う」ことより「思い出す」こと」

真っ白な原稿用紙(あるいはモニタ)を前に呆然としてしまったことはたぶん誰でもあると思います。
あるいは書きたいことはあるのだけれど、具体的にどう表現していいかわからない。時間だけが過ぎていく……、悪夢ですね。
そんな時には「思い出す」というのが一つのキーワードになります。「思い出す」内容は必然的に自分の経験や記憶から持ってきます。その時の風景や気持ち、空気も一緒についてくるのではないでしょうか。
例えば「失恋」についてどう「思う」?と尋ねられた時は「辛い」とや「さびしい」といった言葉が出てくると思います。
本人にとっては全くその通りなのだと思いますが、表現上ではいかにも平凡な気がします。あるいは他人事のようにもとれますね。

失恋の経験をした人の気持ちを言い表す言葉としては、少し物足りないような気がしませんか。
では「失恋」について何を「思い出す」かと言われたら?
おそらく記憶の中の風景や自分の気持ちが呼び起されると思います。経験の中の体温のある気持ちが出てくるのではないでしょうか。(あるいは映画のワンシーンを思い出すかもしれません)
書く(描く)ヒント、きっかけとしてはこれ以上のものはないと思います。
「思う」ことより、「思い出す」ことがヒントです。記憶に残る「体験」の中に「材料」があるのです。

 

kanren「書くことが思いつかない人のための文章教室」(詳細紹介)

 


書くことが思いつかない人のための文章教室 (幻冬舎新書)

 

「妄想」を「構想」に変える

妄想するのは楽しいのですが、漠然とした妄想は頭の中に放置していても具体的な形(話)になってくれません。

この本の中では「ハコガキ」という手法が紹介されています。ハコガキを作る理由は「アイデア(妄想)を形(構想)に変える」ためです。

また、他にも「ストーリーの唐突さを避け」たり「ドラマを作」ったり、「客観性を養う」トレーニングにもなります。
【ハコガキの作成方法】
用意するもの…メモ用紙の束(ハガキより一回り小さいサイズ)、私は付箋でもいいと思います

  • 場所:~
  • 時間:~
  • 登場人物:~
  • 出来事:~
  • 主な台詞:~

以上を一枚ごとに記入していきます。アイデアなので何枚作成してもいいでしょう。書きたいシーンや台詞がある場合それをまず埋めて行きます。
作成したら横一列に並べます。アイデアの集まりなので似たような箱書や、無駄なシーンができていませんか?

それらをよーく眺めて整理します。
【整理の手順】

  • 無駄な場面だと思えたらカット
  • 前後のつながりが悪かったら、新たな場面を加える
  • 前後の順番を変えてみる

ハコガキ作りは、ストーリーの矛盾をなくし無駄を省くだけではなく、俯瞰的に物語を見る事ができます。誰も共感してくれない「独り言」になっていないか?についても確認します。

 

kanren「1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド」(詳細記事)

 

何事も起こらない普通の日を書く

職業、家庭、性格、友人や恋人、一人の人物の日常の背後にはまさにその人物の人生が潜んでいる。それをすべて書くことは不可能だし、必要でもないのだろう。しかし、それをうっちゃったまま先へ進むことはできない。必要最低限の、しかしありありと想像できるある人生のある日の日常を書き起こすことで、小説の場面の基礎は出来上がっている。いわば建物をつくるブロック材、レンガのように一つ一つの場面の日常がどれだけ堅牢に書けるか、小説がちゃんと”建つ”かはそこにかかっている。二週間で小説を書く! -第二章 小説の中身-

この本の最後の課題は「何事も起こらない普通の日」を書くことです。

映画や短編小説もそうですが、物語で語られるのはその人物の人生のほんの一部です。

そのバックグラウンドにはそれまで過ごしてきた人生の軌跡と、未来につながる出来事が必ず含まれています。そこがすっぽり抜けて、キャラクターの表面ばかり追ってしまうともの作品が薄っぺらくなってしまいます。特にオリジナルキャラクターはキャラクターの設定(ペルソナ)をはじめにつくることによって、深く検討するきっかけになります。

まるでキャラクターが隣に存在するかのようになるまで、考え抜くのがポイントです。

ちなみに、ここ最近のキャラクターメイキングで一番参考になるのは、「トイストーリー」や「モンスターズインク」などのピクサー作品です。

先に挙げた2作品は脚本的にもとても素晴らしいです。特に「トイ・ストーリー3 ※スーパーセットの方」は「脚本の書き方講座」が特典映像としてついていてとてもおススメです。
キャラクターの設定方法もその中にありますが、まずキャラクターについて以下を決めるそうです。

  • 置かれた状況
  • 大切なもの
  • 弱点

これ、なるほどと思いませんか?この3つのポイントが決まれば、どんなふうにストーリーが展開してもキャラクターがブレないと思います。

 

kanren「2週間で小説を書く!」(紹介記事)

描写と説明の違いって何ですか?

説明は必要最小限度に

キャラクターまでよく考え練り込んだ、いざ書き出すとなんとなく冗長でダレた文章になってしまう。

地の文の説明が長すぎたりしませんか?

ちなみに描写と説明の違いは下のとおりです。

説明…ある事柄が、よくわかるように述べること。(デジタル大辞泉より)
描写…物の形や状態、心に感じたことなどを、言葉・絵画・音楽などによって写しあらわすこと。(デジタル大辞泉より)

説明を長々と書くよりも、具体的な情景描写の方がしっくりことがあります。
描写への別の質問で「人プラス物で書こう」という回答がされていました。
物はそのままにしていては何も語りません。でも、感情を託して描くと静かに語り始め、あなたの胸の内までも表現してくれるのです。

歯ブラシはそっと寄り添うケンカ後も
亡夫の靴へふと足入れてみたくなり
※川柳は下の著作中で引用されていたものです。

誰かの残して(遺して)いったものが如実に誰かを語ることもあります。

 

また、『悪女について(有吉佐和子著)』という小説は、登場人物の会話の中でストーリーが進行しますが、その主人公である公子の声のトーンの描写がとても巧みです。声色、という言葉があるように、声のトーンは感情を表すことができます。たとえば『歯切れがいい』や『大人びた調子』『かそけき(かすかな)声』などの表現です。

※『悪女について』は平然と嘘を積み重ねておきながらもなぜか純粋な一面もある謎の女にまつわるお話です。人の語り口調がさまざまで(27人出てくる)、とても参考になります。最後の公子(主人公の『悪女』)の息子の証言に間違いなく間違いなく打ちのめされます。

 

kanren「書くことが思いつかない人のための文章教室」(詳細記事)

 

独自の視点でものを見る

独特の視線、独自の切り口、そんなもの私は持っていません、という人もいるかもしれません。しかし、一人として同じ人間がいないように、一人として同じ視点でものを見ている人もいないはずなのです。

まずは先入観を取り払ってみると新しい視点や発見があるかもしれません。

そこでまずおすすめしたい手順は、本の中の登場人物の中から「肩入れしたいな」と思う人物を挙げてみることです。(略)
狡さや卑怯さ、軽薄さという人間のマイナス要因を、その代理人になったつもりで、論理的に弁護してみるのです。その論理はすなわちあなた独自の視点となります。
-第4章「学生のための文章術」「肩入れしたい登場人物」を挙げる より-

これは「読書感想文の書き方」の項で書かれていたことですが、二次創作で最も得意とするところじゃないでしょうか。

作中ではこんな風に描かれていたが、意外な真意があった!とかは私も好きです。
またマイナス要因こそ愛しいとする着眼点もすでにオリジナルの視点と言っていいのではないでしょうか。

 

それと、性格的なマイナス要因は、とても親近感がわくと思いませんか。成功した人がいれば、羨んだり、嫉んだりするのも人間です。

別に黒い感情をクローズアップしてくださいと言っているわけではなく、人間が持っている自然な感情の一つです。主人公だといって無理にそぎ落とす必要もないと思っています。

 

そういう意味で、またしても「トイストーリー」の主人公ウッディを上げてしまうのですが、当初のあのバズへの嫉妬って本当にすごいですよね……。日本のアニメーション(全年齢向けの)ではあまり見ない表現かも。たとえばアンパンマンが食パンマンに嫉妬するようなものです。

 

kanren「誰も教えてくれない 人を動かす文章術」(詳細記事)

誰も教えてくれない人を動かす文章術 (講談社現代新書)

 

思考停止ポイントを発見する

思考停止ポイントとは……
揺るぎのないもの
カリスマ性のある人の発言、意見
自分の内面の正義
自分が連発する言葉 例えば「かわいい」「素晴らしい」など
自分の発言の中で「絶対」とつけるもの
他にも一般的な「正論」なんかも含まれるんじゃないかと思います。良くも悪くもそれを突きつけられたら反論がでないもの、です。
それ自体の良し悪しではなく、それによりかかってばかりでは自分の意見がなくなる(思考停止する)よってことだと思います。

正論の最も恐ろしいところは寄りかかったときの安心感ですね。しかし、何かを作りだすときには案外邪魔(思考停止)してしまうものです。
JOJOの奇妙な冒険(第一部)に登場するジョースター卿の「逆に考えるんだ…、○○しちゃってもいいさ、と」っていうのはアンチ一般論の座右の銘です。

 

kanren「伝える・揺さぶる!文章を書く」(詳細記事)

ラストで読み手の心を動かす、二つの「型」

短編小説においては、ラストで読み手の心を動かす、二つの「型」があります。(私が決めたのではありません。現に「ある」のです。)

それが「ストン」と「余韻」です。

ここでは「ストン」の例に刑事もの(というより探偵もの)、そして落語が挙げられています。

「ストン」は最後の一行(ラストシーン)で読み手にナルホドと納得させるラストです。

「余韻」は本を閉じた後も心の中に漂う「何か」があるラストです。じんわり胸に残る余韻、名作には必ずと言っていいほど存在します。そんな余韻を漂わせるには、どうしたらいいか?

  • 時間・運動の継続を述べる。
  • 空間の広がりを強調する。

というシンプルな二点です。
1.のラストシーンに登場人物の行動を持ってくる。例えば、『ぼくは、雨の上がったグラウンドに向かって勢い良く走り出した。』などです。ある程度、読み手が物語の結末後を想像できる描写にします。例が微妙ですが、連載漫画の打ち切り回のラスト…と言ってもいいでしょう…。
2.空間の広がりは、俳句の例が挙がっていますのでそのまま引用します。
古池や蛙とびこむ水の音
夏草や兵どもが夢の跡
古池や…は蛙の小ささを描くことによって周囲の広がりを表現しています。
広い空間を目の当たりにして感じる感慨が、余韻として残るのです。

 

kanren「1週間でマスター 小説を書くための基礎メソッド」(詳細記事)

 

まとめ

小説を書くなんて、なんだかできそうにないし、意を決してWordを開いてみても言葉が出てこない。そう思って小説を書くのをあきらめてしまうのはもったいないです。

ちょっと見方を変えたり、考え方を変えてみるだけで意外にすんなり書けてしまうものです。

他の記事「同人誌制作は小説がおすすめ」でも書いていますが、絵のことを気にせず書きたいお話に没頭できるので小説はおすすめですよ。(今後小説本が増えるといいな、と願いつつ……。)

「書くことが思いつかない人のための文章教室」のまえがきからの引用で終わります。

書くってしんどいと言えばしんどい作業です。でも書いたことで意外な発見があったり、人生の進路や生き方の再発見があったり、得られるものは貴重です。それに文句ひとつ言わずに自分を受け入れてくれるのは、文章のほかにそれほどたくさんはありません。書いて、もやもやしたした気持ちを晴らす。おすすめです。

-まえがきより-

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