「簡単だけど、だれも教えてくれない 77のテクニック 文章力の基本」

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「簡単だけど、だれも教えてくれない 77のテクニック 文章力の基本」

阿部 紘久 日本実業出版

……「相手の理解と共感を得る」という目的はどんな文章にも共有しています。そのために踏まえるべき原理・原則も、大部分から共通していると私は考えています。文章の形が大きく異なっているように見えても、それぞれ別の書き方がある訳ではないのです。

-はじめに より-

はじめに、で書かれていますがこの本は小説を書くというよりも、ビジネス現場で文章を書くことを主軸にしています。ただ、抜粋にあるように「相手の理解と共感を得る」ことは小説であっても同じです。タイトルにあるようにテクニック集ですが、文章の完成度を上げるにはぴったりだと思います。

おすすめポイント

  • 見開き2ページで例文から解説が完結していて読みやすい
  • 原文→改善の例文がすべて載っている
  • それぞれの章のまとめが各章の最後にある

ビジネス現場向け(若手・中堅社会人向け)とあって、電車の中やちょっとした空き時間に読めるようになってます。77のテクニックと言われると、えっそんなにたくさん?と思うんですが77個のポイントがそれぞれが5分程度で読める内容に無駄なくまとまっています。

章ごとのタイトルは下記の通りです。

第1章 短く書く

第2章 自然な正しい表現で書く

第3章 書いたことを明確にする

第4章 わかりやすく書く

第5章 完結に書く

第6章 共感を呼ぶように書く

第7章 表記とレイアウトにも心を配る

ちなみに「第6章 共感を呼ぶように書く」は小説を書く上でも役に立つテクニックがまとまっています。

おすすめのタイトル

簡潔に書く

「第5章 完結に書く」では「「一語でも短く、一字でも短く」を常に心がける」ことで「言いたいことがより鮮明に伝わる」とまとめられています。回りくどい言い方を意図していなくても、口癖と同じでつい、書いてしまったります。

【原文】そのよにして考えてみる

【改善】そう考えると

また「ポイント52 同じ意味の言葉を重複して書かない」では似たような言葉を徹底して省くことがテーマになっています。

【例】

  • 「何回も」と「多々(ある)」
  • 「よく」と「何度も・多い・少なくない」
  • 「すべき」「求められる」

「ポイント58 「という」を削る」は読んで反省したところです。「という」や「というもの(こと)」は自分の書いた文章でかなりの回数使ってしまっていました。伝わりやすい文章のためには必要のないものは省くという鉄則ですから、なくてもよい場合は省きます。省くことですっきりします。

共感を呼ぶように書く

文章を書く以上、読み手に自分の考えに共感し、理解してもらうことが必要です。その必要が無いのは独り言や日記だけです。

一番望ましいのは「感動」とか「感激」に類する言葉は一切使わずに、その場の状況を淡々と目に浮かぶように描き、それを読んだ人が自発的に「素晴らしい」「感動的だ」と思ってくれることです。

-ポイント63 感動を押し付けず、読み手に感じてもらう より-

「感情」や「感激」に類する言葉を使わないこと、例えば「感謝」「意義(がある)」「重要」「素晴らしい」などを文中で使わないことです。
「伝える・揺さぶる!文章を書く」で紹介した「思考停止ポイント」がまさにこれですね。「素晴らしい」が口癖になってしまっていたので、いっそ使用禁止にしてみたそうです。

また、「とても」「ひどく(ひどい)」「本当に」などの程度を現す言葉も使いすぎると押し付けがましく感じます。あくまでも「感動」は読み手のものです。

表記とレイアウトにも心を配る

漢字本来の意味から離れた言葉は、漢字でなく平仮名で書くことを勧めます。

【原文】家で母親とは良く話す。

【改善】家で母親とはよく話す。

この「よく」は「たびたび」の意味で、「良い、悪い」という意味ではありませんから、漢字は使いません。

他の例では「~という」「(○○したい)ところだが」「~したこと」などがあげられています。たいてい文章や小説はパソコンで作成しているので、ウッカリ変換してしまうこともたびたびです。推敲のときのチェックポイントにしようと思います。

まとめ

本の最後に「おわりに」で、作者の想いが書かれています。

読むそばから理解できて、その後に読み手の中にさまざまな思いがふくらんでくれば理想的です。つまり、読んでいるときには頭を使わず、読んだ後に頭を使いたくなる文章が良い文章です。

的確ですね。そして「良い文章」を書くにはどうしたらいいか?について3つの資質が挙げられています。

  1. 自分の頭で感じたり、考えたりする習慣
  2. 相手の身になって感じたり、考えたりする想像力
  3. 健全な言語感覚を持つこと

最後の健全な言語感覚とは、「的確な言語表現力」です。

初めからおわりまでストイックな文章テクニック本ですが、推敲やブラッシュアップにこそ参考にしたいと感じました。実践的で使えるテクニックばかりです。

文章力の基本

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