遠近法を使った漫画背景の描き方(基本編)
漫画やイラストに欠かせない背景ですが、奥行きのある背景が描けるとキャラクターが引き立ち、作品の世界観をうまく表現することができます。
でも遠近法や透視法とかって難しいのでは?と思うとしり込みしてしまうのも事実です。
確かに透視法を使った背景は見た目に正しく、説得力があります。作画の手間はかかります。
しかし、厳密な透視法を使わなくても、ある程度までは雰囲気のある背景を描くことができます。その方法をいくつか紹介します。
遠近法とは
遠近法とは、目の前の3次元の空間を2次元で表現したとき、2次元である平面から空間の奥行きや空間を感じさせる手法のことです。遠近法を用いた手法は、点透視図法(一点透視図法、二点透視図法、三点透視図法)や短縮法、空気遠近法などが挙げられます。
遠近は何でわかるか?
遠近を表現する方法はいくつかあります。透視法と一緒に使うと効果的です。
- 縮小
近くにあるものは、大きさの違いによってどちらがより近くにあるか見分けることができる。
- 重なり合い(オーバーラップ)
奥まった空間では、どちらが手前にあるかは「縮小」より、「重なり合い」の方がわかりやすい。
- 短縮遠近法
フォルムを縮めて奥行きを表す。
- 空気遠近法
遠くにあるものほど、かすんで見えて色は薄く、線も細くなる。日本画(水墨画)などでよく使われる技法です。
水平線と消失点
遠近法で外せない水平線と、消失点を図解します。
水平線
画面上で後退していくものはすべて水平線向かっていきます。また見ている(描いている人の)目の高さはいつでも水平線上にあります。
- 絵の中の人物がみんな、ほとんど同じ背の高さだったら、水平線を目の高さの目印として使うことができる。
- 見る地点が低ければ、水平線は人体を避けて描く。
- 見る地点が高ければ、あと頭をいくつ足せば水平線と同じ高さになるかを考える。
消失点
- 後退していく線は必ず消失点に向かって集中していく
透視法について
透視法とは目に見ている立体物を目の前の紙(平面)にそれらしく写し取るためのテクニックです。
まずそれぞれの技法の概要をまとめます。
一点透視図法
【一点透視図法の特徴】
- 対角線の消失点は、中央の消失点から同じ距離に位置している。
- 対角線の消失点を近づけると、絵を描くスペースが狭くなる。
- 立体の場所が対角線の消失点を超えてしまうと、もはや立方体に見えなくなる。
(消失点が離れれば離れるほどゆがむ)
二点透視図法
【二点透視図法の特徴】
- 一点透視図法よりも迫力のある画面が作られる。
- 画面の奥行きへ向かっていく度合いが一点透視図法よりもゆるやか。
- 消失点の一つと、対角線の消失点を結ぶ水平線の1/2以内に絵を収めると歪みが目立たない。
三点透視図法
【三点透視図法の特徴】
- 消失点が三点ある。
- 作画は一番手間がかかる。
- 写真を使うのもおすすめ。
パースのかかった円の描き方
パースのかかった円はイラストなどでも意外に使います。たとえば、タイヤや壁にかかった時計、チェーンアクセサリー、皿やコップもそうです。
簡単に描く方法を紹介します。
画面上で四角のパースを取ることができれば、あとは意外に簡単です。
もう一つ、パースのかかった円の使いどころにあげられるのは人体です。体の傾きや腕のボリュームなどの目安にすると便利です。
まとめ
遠近法の基本についてまとめてみました。
おすすめはフリー素材などを使ってパース資料を作る方法です。写真でも画面端はレンズによってゆがんでいることがありますが、大まかなパースを取るにはとても役に立ちます。
今回取り上げた透視法の詳しい作図方法は、パース!―マンガでわかる遠近法でも詳しく解説されています。