今回はイラストや漫画を描くために欠かせない「人体構造」と「遠近法(パース)」についてまとめてみました。
最近では便利な素材集もたくさん出ています。
でもぴったりくる素材集を探す時間や、買う費用がもったいない…なんて思うことはありませんか?
一度しっかりと基本を身に着けてしまえば、自分で描けるようになります。
そして応用できるようになれば、効率よく作画できれば漫画を描くスピードが上がるかもしれません。
人体の基礎
ここでは人体の各パーツの大きさを解説します。
成人男女の理想の頭身を8頭身としています。男性は180cm、女性は170cmをモデルとしています。
●男性
手を上げると十頭身の位置まで指先が届きます。
●女性
椅子やテーブルは一般的な高さです。
へそはウエストよりも下の位置にあります。
顔のパーツバランス
おおよそ眉のラインの延長上に耳があります。
唇は顔を三等分した時、鼻から1/3の位置にあります。
図形を使って正しいバランスを導く方法もあります。(詳しい描き方は下の『モデルを参考にしない正面図の描き方』にあります)
●モデルを参考にしない正面図の描き方
※参考文献:人体のデッサン技法
手と足の構造
●手
拳を作る時は×の描かれた場所から内側に曲がります。指の付け根よりも下です。
●足
くるぶし(骨)の凹凸は外側が低い場所に、内側が高い場所にあります。
年齢による頭身の変化
※クリックで拡大
一歳児の頭部の大きさは15cm、成人では23cm程度。
子供を描く際には、より丸みを出すようにするとより子供らしく描くことができます。
※参考文献:やさしい人物画
参考資料
こちらは人体デッサンの基礎となる骨格や筋肉まで図解してあります。また構造だけでなくバランスの解説も秀逸です。オススメ。
形態学をベースに人体の描き方を解説しています。関節や筋肉の構造なども詳しく記載されていますが、イラストが多くとてもわかりやすいです。
奥行きのある背景の描き方(基本編)
漫画やイラストに欠かせない背景ですが、奥行きのある背景が描けるとキャラクターが引き立ち、作品の世界観をうまく表現することができます。
でも透視法とかって難しいのでは?と思うとしり込みしてしまうのも事実です。
確かに透視法を使った背景は見た目に正しく、説得力があります。作画の手間はかかります。
しかし、厳密な透視法を使わなくても、ある程度までは雰囲気のある背景を描くことができます。その方法をいくつか紹介します。
奥行きは何でわかるか?
奥行きを表現する方法はいくつかあります。透視法と一緒に使うと効果的です。
- 縮小
近くにあるものは、大きさの違いによってどちらがより近くにあるか見分けることができる。
- 重なり合い(オーバーラップ)
奥まった空間では、どちらが手前にあるかは「縮小」より、「重なり合い」の方がわかりやすい。
- 短縮遠近法
フォルムを縮めて奥行きを表す。
- 空気遠近法
遠くにあるものほど、かすんで見えて色は薄く、線も細くなる。日本画(水墨画)などでよく使われる技法です。
水平線と消失点
遠近法で外せない水平線と、消失点を図解します。
水平線
画面上で後退していくものはすべて水平線向かっていきます。また見ている(描いている人の)目の高さはいつでも水平線上にあります。
- 絵の中の人物がみんな、ほとんど同じ背の高さだったら、水平線を目の高さの目印として使うことができる。
- 見る地点が低ければ、水平線は人体を避けて描く。
- 見る地点が高ければ、あと頭をいくつ足せば水平線と同じ高さになるかを考える。
消失点
- 後退していく線は必ず消失点に向かって集中していく
透視法について
透視法とは目に見ている立体物を目の前の紙(平面)にそれらしく写し取るためのテクニックです。
まずそれぞれの技法の概要をまとめます。
一点透視図法
【一点透視図法の特徴】
- 対角線の消失点は、中央の消失点から同じ距離に位置している。
- 対角線の消失点を近づけると、絵を描くスペースが狭くなる。
- 立体の場所が対角線の消失点を超えてしまうと、もはや立方体に見えなくなる。
(消失点が離れれば離れるほどゆがむ)
二点透視図法
【二点透視図法の特徴】
- 一点透視図法よりも迫力のある画面が作られる。
- 画面の奥行きへ向かっていく度合いが一点透視図法よりもゆるやか。
- 消失点の一つと、対角線の消失点を結ぶ水平線の1/2以内に絵を収めると歪みが目立たない。
三点透視図法
【三点透視図法の特徴】
- 消失点が三点ある。
- 作画は一番手間がかかる。
- 写真を使うのもおすすめ。
パースのかかった円の描き方
パースのかかった円はイラストなどでも意外に使います。たとえば、タイヤや壁にかかった時計、チェーンアクセサリー、皿やコップもそうです。
簡単に描く方法を紹介します。
画面上で四角のパースを取ることができれば、あとは意外に簡単です。
もう一つ、パースのかかった円の使いどころにあげられるのは人体です。体の傾きや腕のボリュームなどの目安にすると便利です。
【このページで使ったフリー素材】
・足成(写真全般)
・シルエットデザイン(木、人物など)
パースによる絵作りの秘訣
ボーンデジタル社様より検本いただきましたのでご紹介。
今回の「パースの基本」「人体構造」も詳しく解説してあります。これから勉強したい、また再勉強したい方も活用できそう。
「パースの基本」の初心者はまず「パースによる絵作りの秘訣 vol.1基本と環境」を、人体や、画面の演出に関してワンランク上の知識が欲しい人には「パースによる絵作りの秘訣 vol.2 影・人物・構図」がオススメ。
なお、いずれの本も副題は「ストーリーを語る人のための必須常識」となっており、漫画はもちろん、イラストの深みや説得力が欲しい方も読んでみてほしい本です。
パースに関する図版が多くわかりやすいんですが、超アメコミ調なのでキャラクターのクセはあります笑
著者:マルコス・マテウ・メストレ
スペイン生まれ。ビジュアルコンセプト、アナログアニメーションのレイアウト、グラフィックノベルの分野で活躍するアーティストで、長編アニメーションにおいては20年以上の経験を持ちます。
参加した主な映画作品は、「バルト」「プリンス・オブ・エジプト」「サーフズ・アップ」「長ぐつをはいたネコ」「ヒックとドラゴン2」。
引用:(株)ボーンデジタル
参考書籍:パースによる絵作りの秘訣 vol.1基本と環境
全ての基本、アイレベルや消失点の考え方を解説。
それぞれにイラストがついているので、自分で作成したパースが正しいかどうかもわかる。
(下記画像は英語版ですが、書籍は日本語訳されてます)
また建物だけでなく、車やアーチの橋などさまざまな作成例も。
曲線や円のパースについても基本から応用まで解説があります。
自転車や車だけでなく日常を描くには欠かせないのでマスターできると心強いかも。
パースによる絵作りの秘訣 vol.2 影・人物・構図
こちらは影・人物・構図についての内容になっています。
ページの大部分は人体(人物)について割かれています。背景にキャラクターを描くとなぜかしっくりこない、とお悩みの方にはオススメです。
また、顔や体のパーツの詳しい描写や、服のドレープ(しわ)についても解説してあります。
風景の写真から、背景のイラストを起こす方法も解説されています。