コピー本(コピー誌)を製本する
コピー本は印刷や製本にかかる時間が短く(冊数にもよりますが数時間で完成)、個人で本をつくりやすい種類の本といえます。下記の説明は中綴じ本を想定しています。
完成までの手順
作業手順をまとめます。大体こんな感じ。
- 原稿をつくる
- 印刷用のデータをつくる
- 印刷する
- 製本する-折る-
- 製本する-留める-
※ワードに直接小説を書いている人は1と2は同時に行っています。
準備するもの
- 表紙用の紙(インクジェットプリンタ用)※自宅出力の場合
- 本文用の紙※できれば厚手、両面印刷可のものを選ぶ。コピー用紙は文字が裏から透けて読みにくい。(キヤノン普通紙・ホワイト 両面厚口
は安くておすすめ)
- ホッチキス(綴じ方向が縦横自由に変えられるもの:マックス タテヨコホッチキス
)、予備のホッチキスの針
- カッター(オルファ ロータリーカッター S
)・カッティングマット・スチール定規(シンワ アル助ゴム付 300mm
)
- 製本台(中とじ製本ツール ナカトジータ
)
- クリップ、セロハンテープ(製本作業に使います)
- 遊び紙 など(必要な場合)
※オレンジは必須です。
※製本台はなくてもいいんだけど、ナカトジータはある方に譲っていただいてマジで感動しました。中心にぴったりにホッチキス止めができるので快適です。作業がすごく早くなった。
1.原稿をつくる
印刷に使うソフトやフォントによっては印刷用のソフトと原稿作成用のソフトを分けておいた方が良い場合があります。
理由はソフト自身が重いとか、ページ数が増えると表示に時間がかかるなどのストレス。あとアドビ系のソフトは突然クラッシュすることもあるので、安全策として挙動が軽いテキストエディタを使います(私の場合)。
Wordでも構いませんが、最近のバージョンは機能が盛り込まれててちょっと重い印象。
→Word原稿(中表紙・本文・奥付)の作り方をまとめました『ワードで小説の同人誌(コピー本)をつくる(1)』
お好みで何でもどうぞ。デフォルトで入っているテキストエディタ(メモ帳・ワードパッド)でいいと思います。
フリーソフトで縦書き対応もあります(CoolMint Editor Yellow:vectorなど)。
原稿の中身(ネタ出し)で困っている方はこちら(二次創作(小説)の書き方)へどうぞ。
2.印刷用データを作成する
テンプレーとは印刷所のものを活用するのも一つの方法です。ある程度設定されているので楽です。
それと後で印刷所に入稿するとき、入稿データとしてそのまま使える。※テンプレートの配布元と入稿先が同じであれば。
入稿しないのであれば、テンプレートを元に改造(フォントやヘッダーやフッターの変更など)してもよさそう。
栄光印刷さんテンプレート一覧 https://www.eikou.com/down/。
フォント(字体)は明朝系か、ゴシック(細め)が読みやすいかと。
MS明朝、小塚明朝がよく使われます。
- MS明朝
- 小塚明朝Pro(R)
- 小塚ゴシック(L)
【参考:冊子の基本構成】(20ページの本の場合)
- 表紙:1~2ページ
- 中表紙:3ページ目
- 本文:4~17ページ
- 奥付:18ページ
- 裏表紙:19~20ページ
※まえがき(注意書き)、あとがき、その他のページを入れたいときは本文のページ内で作成します。
※中表紙の有無はご自由に。
※コピー本だと基本的に4ページ単位で印刷することを頭に置いておけばいいので、たまに表紙の裏(2ページ目)と裏表紙の裏(23ページ目)にまえがきとあとがきと奥付を入れたことがある……
3.印刷する
自宅にインクジェットプリンタがある場合は、Word、Adobe Reader等から「冊子印刷」を指定して出力します。
※アプリケーションのバージョン、プリンタドライバによって冊子印刷ができない場合があります。
また自宅にインクジェットプリンターがない場合は、キンコーズなどの出力センターやネットプリント等、コンビニで出力が可能です。外部で出力するときは表紙のカラーデータはRBGからCMYKに修正します。
4.製本する-折る-
印刷ができたら、いよいよ製本です。
製本のコツは「折り目(背)をしっかりつくる」ことです。
これは某ジャンルの先輩に教えてもらった方法です。
まず親指の腹にクリップを乗せます。それをセロハンテープで巻いて固定します。下図は左手ですが利き手でOKです。
そのまま、いつも通り親指を滑らせるように折り目を付けてください。たぶんシャキッとしていると思います。
セロハンテープで指の汚れが付くのも防止できますし、滑りが良くなるのでおすすめです。
製本用ローラーもあります。100部単位で作るときにどうぞ。
紙折りローラー 【 おりめ正くん】※原文ママ
餃子の皮作りにも役立つそうです。※原文ママ
5.製本する-留める-
ホッチキスで留めて製本は完了です。最後の工程になりますが、ここで失敗すると正直へこみます……。
絶対に失敗したくない、でももう原稿で疲れてるし、あと100部ホチキス止めとか気が遠くなりそう。
▲こうだっ!
というわけで二箇所一緒に綴じられてとても楽チンです。しかも四方押さえられているのでズレない。
※サンプルの表紙はこちらからダウンロードできます。
【ひと手間かけてワンランク上の製本】
時間があれば、ひと手間かけることで見栄えと読みやすさをUPできます。
中でもおすすめしたいのが「化粧断ち」です。
本文のページ数が増えると、見開き(真ん中)のページに近づくにしたがって紙の厚さ分飛び出してきます。
実際手に取ってみるとわかりますが、真ん中のページまではページをめくりやすいのですが、後半のページは表紙側が中央のページに比べて下がっているので逆にめくりにくいのです。
そこで小口(背表紙と逆の開く方)の表紙から飛び出している本文の紙をカットしましょう。
※印刷所で行われている化粧断ちは背以外の三か所なんですが、小口だけで十分だと思います。
※普通のカッターでもいいですが、ロータリーカッターが紙に引っかかりにくてGoodです。化粧断ち以外にも、手に触れる名刺やカードにもおすすめです。カットした時の毛羽立ちが抑えられます。
オルファ ロータリーカッター S
小口カットやペーパー作成にピッタリの裁断機。2000円以下で手に入ります。
カール事務器 ディスクカッター DC-200N
また角丸の可愛い本を作りたい方にはこちらも。角丸加工が簡単にできます。用途に合わせて3mm、5mm、8mmの角が選べます。
サンスター文具 かどまるPRO S4765036
まとめ
製本は仕上げが命、効率よく仕上げ作業ができるツールも安く手にはいります。
本文用のフォントは読みやすければあまり気にしなくてもよいかと。MS明朝で大丈夫です。MS P明朝はかなり字間が詰まってしまいますが、お好みでどうぞ。
組版やフォントについてもっと勉強したい~という方はこちらへどうぞ。
モリサワさんのフォントいいよね~一昔前は高くて手が出ませんでしたがMORISAWA PASSPORT ONEでフォント使いたい放題というのは魅力的。アマゾンだと定価よりちょっと安いみたいです。