「ボーイズラブ小説の書き方」
花丸編集部・編 白泉社
「ライトノベルを書きたい人の本」はラノベ愛好家(多分)の方が書いていたのですが、この「ボーイズラブ小説の書き方」は編集者(花丸編集部)が執筆されているとあって結構辛口です。
(オリジナルの)ボーイズラブ小説を書くための基礎知識は書かれていると思います。(※私があまり商業ボーイズラブ作品を読まないので、コアユーザーには物足りないのかもしれませんが)ですが、この本はどちかというとボーイズラブ小説の素晴らしさを語る・編集部として理想の作品とはという講釈にウェイトがある本です。
【ボーイズラブ小説の定義とは…】
- ボーイズラブ小説とは、男性同士の恋愛小説である。
- 書き手も読み手もほとんど女性という点で、ゲイノベルとは一線を画す
- 形式としては少女小説の、精神としては少女マンガの流れを汲んでいる
-1 ボーイズラブ小説はラブストーリーだ! より-
ちなみに3.の形式についてが非常に納得しました。この本では「ボーイズラブとは様式美」と言い切ってます。そ、そういうもんなんですね……。
あとここ数年男性のボーイズラブ作品をの漫画家も出てきてますので、読み手も男性が増えてきたのかもしれません。そういった意味でも流動的なジャンルといえるんじゃないでしょうか。
おすすめポイント
恋愛と問題解決の過程をうまくリンクさせて
ハッピーエンドの恋愛小説は、大きくはふたつの種類に分けることができます。
- 二人の思いが通じて、両思いになる。
- 両思いの二人に何らかの行き違いになったが、最後は互いの思いを再確認する。
-ラブストーリーであることを再確認して より-
一応ボーイズラブ限定ということでいいのかな……。しかし、このあとに書かれている恋愛と、解決べき問題(二人の間の障害?)の解決が同時に山場を迎えることが理想というのはとても同意できます。例えば、ゲームなどの世界で「主人公のアイデンティテイを取り戻す旅(個人の都合)が結果的に世界を救う(大義)」という大筋になっているとプレイ側も迷いません。恋愛に戻すと、この二人の恋を応援することは正しい、というお墨付きがあると読み手も安心するのかも。
キャラの魅力を伝えるエピソードが必要
ここで突然ビックリマンシールの話が出てきて驚きました……。今は知らない人も多い気がしますが、いわゆるお菓子についてるおまけシールのことです。それに色んなキャラが書かれていて(神話をモチーフにしたものとか)キャラクターデザインとしては優れたものが多かったことを記憶しています。
ビックリマンシールのキャラクターはキャラクターの造形もさることながらそのシールの裏に書かれている情報が魅力の一つであると書かれています。
キャラクターがどう動くか、どんなことを話すか(思うか)、で性格が伝わります。それがうまくできると、読み手の共感を得ることができます。性格がよくて、かっこいい、っていう主人公タイプだけではなく悪役のキャラクターが魅力的な作品は素敵ですよね。嫌なやつ、友達になりたくないって思われてこそ、キャラクターの個性がばっちり伝わっているんだと思います。
まとめ
その他「リバーシブル(男役、女役の入れ替え)について」とか「女性キャラクター扱いについて」まで書かれています。男女の恋愛小説よりも、さまざまな縛りがある印象が……、男女の恋愛だと(結婚とか出産が絡んで)リアルすぎてNGだから、恋愛至上主義が可能なボーイズラブ!って書かれてるんですが、それなりに縛りがあるっていうことなんでしょうかね(縛りというか方向性は出版社によると思いますが)あと、Hシーン・官能用語の書き方についてもまとめられてるんですが、ちょっとパスさせて下さい……(このサイトが全年齢向けなので)。ボーイズラブって何?っていう超初心者の方にはおススメかもしれません。