同人誌制作のキホン(初心者向け)
同人誌ってみんな気軽に作っているみたいだけど、まず何から始めたらいいのかわからないという初心者の方向けのページです。今回は同人誌の制作準備から印刷所の選び方、スケジュール制作、入稿までをメインにまとめました。
このページは特に下記でお悩みの方にオススメです。
同人誌の制作準備
漫画1ページ、イラスト1枚、小説1章(1シーン)など、一単位でどれくらいのスピードで描ける/書けるのか、把握できているとスケジュールを立てるのにとても役立ちます。
今はTwitterやpixivなどSNSに無料登録すれば気軽に投稿できますので、事前にトライしてみてもいいかも。
また、SNSであらかじめファンやフォロワーさんがいると、コミケなどイベントで同人誌を手に取ってもらう確率もぐんと上がるのでオススメです。皆さもんイベント当日までにWEBで下調べすることが多いと思います。
そしてコミケ大規模な即売会やオンリーイベントなど、イベントに出る場合は日程やイベント申し込みの期日を調べておきましょう。
もちろん、イベントに出なくても同人誌を作ることはできます。自分で自宅から発送を行ったり、書店に依頼したりなどで通販を利用して同人誌を読者に届けることもできます。
▶同人誌の通販について詳しくはこちら「同人誌の書店委託と自宅通販について」
次の章からは具体的なスケジュールの作成方法を解説します。
同人誌発行スケジュール作成方法(イベント合わせ)
イベント合わせに同人誌を発行する場合が多いと思いますので、イベント合わせスケジュールを検討してみましょう。なお、原稿作成に使える時間は大体どれくらいか、また平日、休日で変わってくると思いますので、あらかじめ把握しておきます。
例えば平日なら1時間、休日なら6時間など。おおよそ1ヶ月で70時間程度使えることがわかります。
(ざっくり平日を22日/月、土日の休日を8日/月で計算※一例です。具体的なスケジュールはカレンダーに沿って作成します)
例:漫画の同人誌を作る場合のスケジュール
あらかじめ準備のフェーズで作業時間がだいたい把握できているとスケジュール設定は楽に進められます。
▼企画~入稿までの作業概要(作業時間は仮です)
- ざっくりとした企画(どんな同人誌を作ろうか?表紙の仕様(カラーや紙種など)やボリューム、ストーリーのアイデアだし):10時間
- プロット(どんなストーリーにする?):16時間
- 仕様やページ数がおおよそ決まれば印刷所の検討:2時間~
- 下書き・ペン入れ(実作業):24時間
- 原稿チェック→入稿作業:4時間
▼ざっくりスケジュールとして置いてみます(あくまで参考です)
※それぞれの時間×20%~30%くらいを余裕として見積もっておくと安心です。理由は緊急事態(予期せぬ残業や体調不良)に備えておくためです。例:下書き・ペン入れ(実作業)なら、24時間×0.2=4.8時間をプラスした28.8時間くらいで考えておくと慌てずに済みます。
※入稿作業は印刷所への入稿日までに終わらせる必要があります。
→入稿日っていつ?どう決める?
同人誌の原稿作成方法
PC、スマホ、タブレットなどでデジタルデータを作成すると、印刷所への入稿もWEB上でできますので簡単です。それぞれの特徴についてはリンク先の公式ページなどで確認できます。スマホやタブレットで作業できるアプリが製品によってはあります。またお試し期間として無料で使えるものもありますので、試してみて使いやすいツールを選んでみるのもオススメです。
※下記は一例です。
- 漫画原稿作成ソフト
▼クリップスタジオ
https://www.clipstudio.net/
▼メディバンペイント
MediBang Pro - 至高のデジタルキャンバスデジタルクリエイターのための直感的層が可能なアプリケーションがiPadに登場。カスタマイズ性が豊富なブラシと合理的なインターフェイスで、外出中のクリエイターにも最適です。 - 小説原稿
Word、テキストツール
▼Adobe InDesign
https://www.adobe.com/jp/products/indesign.html
アプリやソフトをインストールできたし使い方もOK!早速原稿を作りたい!その前に…
原稿や入稿データについて確認しましたか?(サイズや解像度、入稿データ形式など)
入稿先の印刷所によって異なりますので、印刷所を先に決めておきましょう。→印刷所の選び方はこちら。
サイズや解像度を確認せずに間違った仕様で原稿データを作ってしまうと、データを作り直しすることになり、入稿日に間に合わなければイベントの日までに同人誌が出来上がりません。いわゆる『新刊を落とす』ということになります。
同人誌を印刷する印刷所の選び方
基本的にはどんな印刷所に依頼してもOKです。
費用や、スケジュール(締切)、やってみたい加工など、どれを重視するかで選ぶ印刷所が変わってくると思います。下記にポイントをまとめました。
- 費用…内訳は印刷費用+納品時の送料です。(どちらも印刷所により異なります)
印刷費用は主に「同人誌のサイズ」「部数」「ページ数」「本文と表紙の紙の種類(※)」「加工の内容(PP加工や箔押しなど)」などで決まります。
具体的な金額は印刷所のサイトで確認できます。ページ数や表紙の仕様を元に、印刷所のサイトにある価格表を確認します。ない場合は見積もりを依頼しましょう。また、見積もりフォームがある場合は自動計算できます。
→ここで1冊当たりの単価を把握しておくと、頒布する時の価格を決める時の参考になります。例えば30,000円で100冊作成した場合、一冊当たりの単価は300円になります。イベントでの価格については特にルールはありません。自由に決めることができます。
※紙の種類がよくわからない場合は、印刷所によってはサンプル取り寄せできることができます。試し刷りができるサービスもあります→有償印刷見本キャンペーン (同人誌印刷所おたクラブさん) - 入稿日/納品日…入稿日=いわゆる締切日です。こちらも印刷所により異なります。
この期日までに印刷所に完全入稿データ(完全入稿データとは?)を送ることができない場合、希望日までに納品がされません。またイベント前後は入稿データの扱いが増加するため、印刷所ごとにイベント合わせの締切があります。
納品日=手元に同人誌が届く日のこと。また、印刷所からイベント会場に直接搬入できるサービスもあります。
▼入稿から納品までのイメージ(日数は仮です) - 装丁などを加工を凝ってみたい…印刷所によって可能な加工が異なります(PP加工、箔押し、UV印刷など)。もし手元に見本になるような同人誌があれば奥付(奥付とは?)を見るとその同人誌を印刷した印刷所の記載があります。ただし特殊な加工は大抵の場合入稿から納品までの日数がプラスされます。つまり納品日を変えない場合、入稿日が早まります。(特にイベント合わせで同人誌を発行する場合は注意)
- 原稿や入稿データの仕様…解像度や入稿データのサイズ、データ形式(PDF・PSDなど)など。入稿用のテンプレートがある印刷所もありますので、よく確認します。
同人誌(冊子など)の基本構造と用語集
同人誌(冊子など)の構造
- 表1、表2、表3、表4…表1とは表紙のこと、表2とは表紙をめくった裏側のページです。表4は裏表紙、表3とは表紙をめくった裏側のページです。
- 背…同人誌の厚みのこと。本文ページ+表紙の厚みの合計です。
- 小口…同人誌を開いた時、外側に来る場所のこと。参考:小口染めとは、背を除く3方向を染めるという加工です。
- ノド…同人誌を開いた時、内側に来る場所のこと。
- ノンブル…ページ数のこと。表紙(表1)から1ページとして数える場合や、本文から1ページと数える場合もあります。特に決まりはありませんが、製本時のページ間違いなど落丁を防ぐためにも必ずいれます。入れたくないページがある場合は隠しノンブルなどもありますので、印刷所のサイトを確認してみてください。
トンボと仕上がりサイズ、塗り足し
- トンボ…同人誌などの作成に必要な、原稿の仕上がり位置を表す線。上下左右に4つあるコーナートンボとその中間にあるセンタートンボがあります。
- 仕上がりサイズ/塗り足し…仕上がりサイズとは同人誌の出来上がるサイズです(B5なら182mm×257mm)。塗り足しとは実際のほんのサイズより少し大きく(大抵の場合3mm)図柄や塗りを入れることです。
色と印刷について
- RGB/CMYK…RGBとはモニタなど画面で見られる色のこと。通常このままでは印刷はできません。RGBで印刷する場合はCMYKに変換して印刷することが可能です(RGB入稿を受け付けているかどうかは印刷所によって異なります)。CMYKとは、C(シアン)、M(マゼンダ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の印刷用のカラーのこと。一般的にフルカラー入稿データとはこのCMYKのデータを指します。
- グレースケール/モノクロ2階調…グレースケールとは白と黒の中間の諧調(グレー)の色を指します。モノクロ2階調とはモノクロ2値とも言います。白と黒のみで表現されます。トーンなどはモノクロ2階調(モノクロ2値)指定の場合があります。
- 解像度…解像度とは数値が大きくなればなるほど綺麗な印刷ができます。
例:同じ300px四方の画像であれば、72pdiより300pdi、600pdiの方がより綺麗に印刷できます。印刷所により原稿/入稿データの解像度に指定がありますので確認しましょう。 - オンデマンド印刷/オフセット印刷…オンデマンド印刷は、高品質のレーザープリントとしてイメージしてください。版を作らず印刷できるので少部数でも安く印刷できるためオススメです。オフセット印刷はフルカラーではM(赤)C(青)Y(黄色)K(黒)の4つの『版』を作って印刷します。プロユースで非常に精密な印刷ができますが、版を作るため価格は高くなります。→オンデマンド印刷、オフセット印刷について詳しくはこちら。
その他の用語
- 完全入稿データ(完全原稿)…不備のないデータのこと。例えばページなどの間違いがないことや、印刷所の指定の解像度などでデータが作成されているか、また、成人向け(R18)の場合修正の有無などが含まれます。
- 奥付…本文の最後に、下記内容が記載されているページを奥付と呼びます。なお同人誌でも発行責任として、記載が必要です。
▼奥付の記載内容
1)同人誌のタイトル
2)発行日
3)発行者(サークル名か著者名)
4)発行責任者(=個人誌では発行者)の連絡先(SNSのIDよりメールアドレス推奨)
5)印刷会社名
最後に…同人誌即売会イベントへの参加準備
同人誌を作ることももちろん大切ですが、スムーズにイベント参加準備ができる素材やTipsを紹介します。
- 無料お品書き素材(スペースに置く同人誌やグッズの内容をまとめます)
- Twitterの告知のキホン(PCスマホで見切れない、たくさんの人に見てもらうための工夫)
- スペースの設営お役立ちグッズ「まかせてビーゴさん」(イベント会場で見てもらうためのディスプレイの工夫)